保育士が知っておきたい子育て支援と健全育成

児童の健全育成

(1) 健全育成とは

 

健やかに子どもを生み育てる環境づくりの形成を進め、
少子化対策を行わなくてはならない現代の日本にとって、
「健全育成」はとても重要な部分となります。

 

児童福祉法の第一条「児童福祉の理念」に記された
「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ育成されるよう
努めなければならない。」の「健やかに生まれ」、「育成される」という部分に、
「健全育成」が相当するといえます。

 

そして、子どもを受動的な立場に置き、
大人や周りの環境からの働きかけが、「健全育成」には必要であるといえます。

 

しかし、子ども自身の「育つ力」が著しく阻害されている昨今は、
子どもの主体的な育ちを保障していくことも重要です。

 

(2) 児童厚生施設

 

児童厚生施設は、児童に健全な遊びを与え、その健康を増進し、
情操を豊かにすることを目的とする施設と、
児童福祉法第40条に規定される児童福祉施設があります。

 

児童館の種類

 

 小型児童館: 小地域を対象とした施設で、児童に健全な遊びを提供する施設。

 

 児童センター: 小型児童館に、体力増進の機能が備わっている施設。 

 

 A型児童館: 児童緒センターの機能にプラスし、他の児童館や児童センターとの
       連絡調整の役割も果たす施設。

 

 B型児童館: 自然の中で宿泊することができ、野外活動ができる施設。

 

 C型児童館: 広域の児童を対象として芸術や体育、科学などの総合的な活動ができるよう、
       劇場やプール、コンピュータプレイルーム等の設備のある施設。

 

児童遊園

 

児童遊園は、屋外での活動の場として整備されている施設で、
都市公園法に定められている児童公園と共に、主として幼児や小学校低学年の
児童にとって重要な健全育成資源として活用されています。

 

*児童館と児童遊園には、児童の遊びを指導する「児童厚生員」が置かれています。

 

(3) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)

 

放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)は、
昼間保護者がいない家庭の概ね10歳未満の児童を対象としています。

 

そして、授業の終了後に、児童厚生施設等の施設を利用し、
適切な遊びや生活の場を提供します。

 

放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施主体は、
市町村、社会福祉法人、その他となっていて、
子育てと就労の両立を支援するサービスとして、
緊急保育対策等5か年事業、新エンゼルプラン、
子ども・子育て応援プランにより大幅な拡充が図られてきました。

 

放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の活動内容

 

・児童の健康管理、安全確保、情緒の安定
・遊びの活動への意欲と態度の形成
・遊びを通しての自主性・社会性・創造性の向上
・児童の遊びの活動状況の把握と家庭への連絡

 

(4) 地域組織活動

 

児童の健全な育成を図るためには、
地域住民の積極的な参加が必要で、地域活動が重要です。

 

地域活動としては、子ども会などの集団活動や
母親クラブ、親の会などの育成活動があります。

 

子ども会

 

子ども会は、小地域のすべての児童が健全に育成される事を目標とするもので、
近隣に住む児童の遊びの集団として組織化したものです。

 

地域組織

 

地域組織としては、母親クラブ、親の会などがあり、
子育てを行う母親同士の交流や子育ての経験に基づいた世代間交流、
遊び場の遊具の点検、非行防止活動などを行いながら、
地域における児童健全育成に取り組んでいます。

 

(5) 食育基本法と子どもの健全育成

 

楽しく食べる子どもに−保育所における食育に関する指針

 

2004年、「保育所における食育のあり方に関する研究班」によって、
「楽しく食べる子どもに−保育所における食育に関する指針」がまとめられました。

 

この「楽しく食べる子どもに−保育所における食育に関する指針」は、
保育所における発達過程に応じた食育の狙いや内容、
配慮事項を整理したものが報告書としてまとめられたもので、
食べることは生きることの基本であり、
乳幼児期から発達段階に応じて豊かな食の体験を積み重ねることにより、
生涯にわたって健康で質の高い生活を送る基本となる「食を営む力」
を培う事の重要性が示されたものです。

 

食育基本法

 

楽しく食べる子どもに−保育所における食育に関する指針の翌年、
2005年に食育基本法が成立しました。

 

食育基本法成立は、
国民の食生活における栄養の偏りや不規則な食事、
肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向などの問題、
「食」の安全上の問題などを背景としています。

 

そして、食育基本法が成立したのは、
子どもが成長する上での「食」の重要性が、改めて認識されたものであるといえます。

 

・食育基本法の前文

 

「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくためには、
何よりも「食」が重要である。」

 

(6) 子どもの健全育成の課題

 

児童厚生施設は、児童福祉法第40条で、以下のように規定されています。

 

「児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、
又は情操を豊かにすることを目的とする。」

 

この児童福祉法第40条を見ると分かるように、
子どもにとっては受身の健全育成となっています。

 

しかし、1992年の「たくましい子ども、明るい家庭、活力とやさしさに満ちた
地域社会をめざす21プラン研究会」の報告書に明記されている
「子どもの健全育成を図っていくに当たっては、
子どもを一定の方向に導いていくという側面のみを強調するのではなく、
子どもが生まれながら有している成長、発達の可能性を
最大限発揮できるように支援していくと視点が重要である。」
という視点となっています。

 

このような視点に立ち、健全育成サービスを展開しているところも多く出てきて、
子ども自らが育っていく「子育ち」という視点も見直されつつあります。